加齢黄斑変性は以前は非常に難病であり、治療困難な失明につながる恐ろしい病気で、
アメリカのような先進国でも中高齢者の失明原因の第一位です。原因もいろいろ言われており、
遺伝的な問題、環境、紫外線や喫煙、食事など言われていますが、決定的なことはわかっていません。
アメリカの大規模研究ではビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、ルテイン、ゼアキサンチンを多く取っている人に
加齢黄斑変性の発症頻度を下げると報告しています。とくにルテインはホウレン草を多く含まれており、
今まで日本人にこの病気が少なかったことが考えられます。しかし日本人でもこの病気が爆発的に増えていっており、
様々な要因が複合的に重なって起こると考えれています。
治療法も現在まで様々なことが試みられてきました。以前では加齢黄斑変性の進行を食い止めることができたのは網膜光凝固術で
したが、この治療法では”視力低下の進行を止めること”がやっとで視力回復ができる治療法はありませんでした。加えて様々な治療が試されてきました。
温熱療法、放射線療法、脈絡膜新生血管抜去術(新生血管を手術的に直接抜去する)、網膜回転術(手術的に全部網膜をはがして、網膜を回転させてまた復位させることにより中心部網膜を助けるといった特殊な手術方法で、視力が助かるか合併症で失明するかどうかの特殊な手術方法)などが試みられどれも特効薬はありませんでした。しかし、アメリカでの研究が進み、光線力学療法といって、ベルテポルフィン(新生血管に集積しやすい薬)を投与し、光照射によって活性化され脈絡膜新生血管をつぶすという治療で初めて治療に希望が持てるものが出てきました。
さらに研究が進み、VEGF(vascular edndothelial growth factor)を抑えることによって脈絡膜新生血管を減少、または消失させることができることがわかってきて、VEGFに対する抗体を眼球内に注射することによって治療できるようになりました。
現在の治療の主流は、抗VEGFを硝子体(眼球内)に注射することになってきました。