眼疾患と血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor=VEGF)

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眼科の疾患において、病気が進行するにあたり血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor=VEGF)が大きく関与しています。特に関係ある眼疾患は糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜静脈分枝閉塞症など現在失明につながる主要なものが多いです。VEGFはもともの体の血管の発生や発達やケガなどから治癒するのに必要な創傷治癒過程における血管新生のメンテナンスに必要不可欠です。例えば、手をナイフなどで切っってしまったとき、傷口を再生させるとき、組織が再生しますが、それに伴って血管が生えて栄養をつかさどるのにVEGFは必要不可欠です。あと、悪性腫瘍が発育するときもVEGFが出て、腫瘍の発育のための血管新生をつかさどっています。そのため、腫瘍の治療薬としてもVEGFが注目されています。つまりVEGFを抑える抗VEGF抗体を使うのです。

一方眼は血管新生を起こしてほしくない部分です。なぜかというと、血管新生=視力低下につながるからです。眼の中は視力のために透明である必要があります。そのためVEGFの眼科領域で研究が盛んとなっておりました。

VEGFの研究の歴史は1971年にFolkmanらの「血管新生因子」を分子標的とした治療戦略を提唱しました。1983年にSengerらは腫瘍細胞が産生する「血管透過性因子 Vascular permeability factor=VPF」を発見しました。さらに1989年にLeungらが「血管新生増殖因子VEGF」を発見しました。のちにVPFとVEGFは同じものであることがわかりました。VEGFは血管内皮細胞の分裂・増殖させます。

その後研究により眼科領域でもさまざまな眼疾患にVEGFが大きく関与していることがわかってきました。そちてVEGFを抑制する中和抗体の研究が盛んになり、さまざまな抗VEGF抗体治療薬が開発されました。

現在ではこの抗VEGF抗体を眼球内に注射する治療が盛んです。加齢黄斑変性、糖尿病網膜症による黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症による黄斑浮腫などに使用されています。

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