自己免疫疾患と眼


目・眼の病気ランキング

自己免疫疾患は様々な眼の症状・眼の病変を起こすことがあります。

免疫とは外部からの異物を体内に入った場合、それを排除する機能です。細菌やウイルスなど病原体を排除することに大事な役割を行います。

しかしその免疫がなんらかのミスをおかして自らの組織などを攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。花粉症などのアレルギー疾患も自己免疫疾患の一つです。

全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ(RA)、若年性関節リウマチ(JRA)、シェーグレン症候群、多発性筋炎・皮膚筋炎(PM・DM)、強皮症(PSS)、混合性結合組織(MCTD)、結節性多発性動脈炎(PN)、ウェジナー肉芽腫症、側頭動脈炎などは眼症状を起こす頻度が高いです。さらに強直性脊椎炎、ベーチェット病、サルコイドーシスなども眼病変を起こす疾患として重要です。

主に自己免疫疾患の眼症状は、乾燥性角結膜炎であり、上強膜炎や強膜炎、角膜病変も見られる。眼内ではぶどう膜炎、網膜炎、網膜血管炎、虚血性網膜病変、神経病変があります。

乾燥性角結膜炎

乾燥性角結膜は自己免疫疾患に合併する角膜病変の中ではもっとも頻度が高いです。

乾燥性角結膜炎の代表的なものはシェーグレン症候群である。シェーグレン症候群は原発性と膠原病に伴う続発性があり、RA(15~20%)、SLE(40~50%)で頻度が高い。このほかに自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎などもにも生じます。

乾燥性角結膜炎は外分泌腺の炎症により涙液量が減少し角結膜に障害をきたす疾患です。

治療は人工涙液やヒアルロン酸などの粘弾性物質を含む点眼液の点眼が行われます。乾燥性角結膜炎では涙液のクリアラスの低下から濃縮しやすいため角膜障害をより促進させる場合や眼瞼縁を生じる場合があるので、安定剤もしくは防腐剤を含まない点眼薬を用いることが望ましい。涙点閉鎖やドライアイ用の眼鏡も有効です。

上強膜炎・強膜炎

上強膜炎は強膜の最外層、強膜炎は強膜深層の炎症で、いずれも球結膜の充血、圧痛、流涙などを起こします。RA,SLE、PM・DM、PN、ウェジナー肉芽腫、側頭動脈炎などの多くの疾患で出現する。強膜炎は上強膜炎より重篤で膠原繊維の破壊により強膜が菲薄化し、穿孔に至るものもある。壊死性結節性強膜炎はもっとも激烈で片眼性が多く全身予後が悪いものが多いです。進行すると結節の壊死性変化により壊死塊が排出され、強膜が欠損しぶどう膜が露出する場合がある。このほか穿孔性角膜軟化症や、強膜肥厚性肉芽腫などもみられる。強膜炎が後方に生じ、脈絡膜炎や滲出性網膜剥離が起きると後部強膜炎と呼ばれる。本邦では少ないが、欧米では20~30%がRA合併に見られます。治療はステロイド薬や非ステロイド薬の局所投与が行われます。

ぶどう膜炎

ぶどう膜は眼組織の中でもっとも血流に富み、全身的要素の介入による炎症が起きやすいです。RA、JRA、強直性脊椎炎、ライター病などが代表的である。RAではぶどう膜炎単独で生じるのはまれで強膜炎の併発症状として生じる場合が多い。JRAでは病型で症状が異なる。全身型や多関節型は急性虹彩毛様体炎が主で視力予後もよいが、寡関節型では慢性虹彩毛用体炎を示し重篤化しやすい。JRAは寡関節型は患者が幼少であることwhite uveitisとよばれるように他覚所見に乏しいことから、眼科受診にすでに虹彩後癒着、瞳孔領のフィブリン膜形成、白内障、緑内障、帯状角膜変性などを伴っている場合も多い。ASはHLA-B27関連再発性急性前部ぶどう膜炎を生じ、急性発作時に毛様充血、角膜後面沈着物、フィブリンの析出をともなう前房蓄膿を形成する場合がある。ライター病では前部ぶどう膜炎を示し、仙腸関節炎のある患者に多くみられる。ベーチェット病には虹彩毛様体型と網膜ぶどう膜炎型がある。虹彩毛様体炎型では急性再発性前房蓄膿性虹彩毛様体炎が典型的であり、局所療法によく反応して一般的に予後がよい。前房蓄膿はASの場合と違い好中球が主体でさらさらしており、水平線を形成する。網膜ぶどう膜炎型は汎ぶどう膜炎を示し、硝子体混濁、乳頭発赤、網膜浮腫、出血、白斑、血管の白鞘化、網膜血管炎、虚血性視神経炎を起こし、重篤化しやすい。こうした眼発作を繰り返すうち非可逆的氏機能障害をもたらす場合があります。

サルコイドーシスは豚脂様角膜後面沈着物、虹彩結節を伴う慢性肉芽腫性ぶどう膜炎を示す。眼底病変は雪球状、数珠状、真珠の首飾り状の硝子体混濁、静脈周囲炎、黄白色の網脈絡膜浸出物、脈絡膜肉芽腫、網膜ろう様滲出物や土手状の硝子体混濁も特徴である。このほか結膜、顔面、眼窩内に肉芽腫を形成する場合や涙腺腫脹もあります。

網膜病変

網膜の基本病態は免疫複合体の血管壁障害による血管炎と各種異常蛋白の増加に伴う血液粘稠の増加による毛細血管の閉塞である。網膜病変はSLEに高頻度に見られるほかDM.・PM、PSS、RA、PN、ウェジナー肉芽腫にみられる。SLEでは患者の10~25%にみられ、軟性白斑と網膜出血は主体である。さらに網膜中心静脈閉塞症や網膜中心動脈閉塞症を合併する例や、血管炎の進行により硝子体出血から網膜剥離にいたる症例も報告されている。SLEの網膜病変は全身症状の改善とももに軽快する場合が多いが、時に重篤な網膜症に進展する場合や、眼症状が初発である場合もあるので注意を要します。

視神経および中枢神経障害

視神経および中枢神経障害はSLEに代表される。視神経乳頭浮腫は網膜病変にともなものと頭蓋内圧亢進によるものがある。視神経炎は動脈閉塞によるものが多く予後不良である場合が多い。このほか同側半盲、眼球運動障害、眼振、眼瞼下垂、注視麻痺、核間麻痺はRAやウェジナー肉芽腫でもみられることがある。

その他

自己免疫疾患では治療に局所および全身のステロイド療法が行われる。このため白内障、緑内障が生じる場合があるため、定期的な眼科受診が重要である。白内障は適切な時期に手術を行えば予後はよい。しかし緑内障の場合、初期にはステロイド薬の中止により眼圧は正常化するが、高眼圧が長期化すると不可逆性になる。自己免疫疾患の場合、全身症状の関連でステロイド薬の減量、中止が困難な場合も多く、長期的な管理が必要になることが多いです。