著しい視力低下を起こす病気になっても治療したら治る病気と治らない病気

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著しい視力障害を起こしても、眼科で手術したり治療したりしても治る病気と治らない病気があります。ここでは著しく視力低下を起こす病気を部位別に列挙しそれぞれ治療して治るか治らないか解説いたします。

角膜の病気

角膜潰瘍:角膜に感染を起こし、著しい痛みと視力低下を起こします。多くはコンタクトレンズのトラブルです。角膜の傷から様々な病原体(細菌、真菌、アメーバ、ウイルスなど)が感染します。

     治療効果は原因にもよります。治療は抗生剤ですが、よく聞けば速やかに回復します。原因によっては難治性のこともあります。

水泡性角膜症:角膜の透明性を維持する内皮細胞がさまざまな原因(主に白内障手術後合併症や緑内障発作など)によって障害され、角膜が浮腫・混濁する病気です。著しく視力低下した場合は角膜移植が必要です。

水晶体の病気

白内障:白内障は高齢者に多く発症し、視力障害を起こす病気ですが、白内障以外に病気がない場合、白内障の手術を行えば視力回復を望めます。

硝子体の病気

 硝子体出血:硝子体という部分に出血して著しく視力低下を起こします。硝子体出血を起こす疾患はさまざまです。糖尿病網膜症、網膜裂孔、網膜剥離、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、加齢黄斑変性、網膜細動脈瘤などが硝子体出血の原因になります。硝子体出血の治療は、まず出血の吸収を待ちます。ある程度出血量が少ない場合、吸収することも多いです。吸収しない場合は硝子体手術をすることもあります。硝子体手術は硝子体にある出血を取り除きます。硝子体出血を取り除くだけではなく、原因を解明して、原因疾患の治療が必要になります。

 

網膜の病気

糖尿病網膜症:日本人の国民病とも呼べるほど糖尿病は日本人に多いです。失明する怖い病気で、以前は日本人の失明の原因の第一でしたが、近年手術治療の進歩や注射などの治療法の開発により3位になっています。

加齢黄斑変性:加齢黄斑変性は長年決定的な治療法がない難病でしたが、近年治療薬(注射薬)ができて、治る病気になってきています。

網膜剥離:網膜剥離は速やかに治療しないと失明する怖い病気です。

網膜色素変性症:網膜色素変性症は遺伝的原因により、進行性に視野欠損、夜盲(暗い場所での視力障害)、視力低下を起こす病気です。

        さまざまな研究がなされていますが、残念ながら現在治療法はありません。

網膜中心静脈閉塞症および網膜静脈分枝閉塞症:網膜の静脈血管が詰まる病気です。網膜中心静脈閉塞症は網膜血管の中心、根元が詰まり、

 網膜静脈分枝閉塞症は中心から離れた末梢の静脈が詰まる病気です。原因は高血圧や動脈硬化などを誘引とする血栓症、いわゆる脳梗塞や心筋梗塞などと同じような病気です。網膜中心静脈閉塞症は、虚血型(視力低下が著しい)と非虚血型があり、一般的に視力予後は不良です。硝子体出血や緑内障、黄斑浮腫などを起こします。近年抗VEGF剤の硝子体注射で黄斑浮腫が軽減することがありますが、視力改善も限定的で再発してしまいます。網膜静脈分枝閉塞症は、硝子体手術や抗VEGF剤の硝子体注射で視力改善することが多いです。

網膜中心動脈閉塞症・網膜動脈分枝閉塞症:先ほど述べた静脈閉塞とは違い、網膜の動脈が詰まる病気で、視力予後は静脈閉塞よりかなり不良です。網膜中心動脈閉塞症は網膜の動脈の中心、根元が詰まるため、急減期に著しい視力障害(失明)を起こします。治療行っても回復しないことが多いです。

黄斑円孔:網膜の中心に穴が開く病気です。早急に手術(硝子体手術)を行えば視力回復は望めますが、長期間放置されてから手術しても、

 視力回復は望めません。

緑内障:緑内障は現在、日本人の失明の原因の第一です。一言で緑内障といってもさまざまなタイプがあります。まずは大きく二つに分けて

   急性の緑内障と慢性の緑内障。急性緑内障(発作)は一晩で失明してしまう怖い病気です。慢性は年単位で視野が狭くなっていく病気ですが頻度は圧倒的に慢性の緑内障が多いです。急性の緑内障は速やかな手術加療、慢性の緑内障は初期・中期では点眼加療で、進行した場合手術加療が必要になります。

視神経炎

 視神経炎はさまざまな原因から視神経に炎症を起こし、急激な視力低下、中心暗転を引き起こします。

 視力予後は原因にもよりますが、多くは自然軽快することが多いです。ステロイドの大量全身投与を行うと速やかに回復しますが、

 なにもしてなくとも統計学的に最終結果は治療してもしなくても同じなため、アメリカでは無治療で経過観察することが多いです。

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