甲状腺機能亢進症の代表的なものにバセドウ病があります。
甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を促進する働きがあります。
バセドウ病は、この甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気(甲状腺機能亢進症)の代表的な病気です。バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、本来自分を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。
下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺の細胞のホルモンの受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは分泌されています。バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起こる病気です。
代謝をつかさどる甲状腺ホルモンや、交感神経系のカテコールアミンが過剰になるため、典型的には、動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどの症状がおきます。その他、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きのなさが生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。甲状腺は全体的に大きく腫れてきます。眼球が突出したり目が完全に閉じないなど眼の症状が出ることもあります。
バセドウ病の眼所見
眼球突出
von Graefe兆候:下方視で上眼瞼が下がらず、強膜が露出する
Möbius兆候:輻輳不全
Stellwag兆候:瞬目運動の減少
Gifford兆候:上眼瞼の反転困難
Darlymple兆候:上眼瞼後退