小児に対するスマートフォンなどの携帯端末の長時間使用の眼への影響

  • URLをコピーしました!

スマートフォン、アイパッドや小型の携帯ゲーム(スイッチやDSなど)はここ10年でかなり普及して、小学生はもとより幼稚園児が携帯端末機器を使うようになりました。しかもゲームの内容によってはかなり長時間見続ける状態になることが多いです。まだ視覚機能などが発達していない幼児が長時間携帯端末を見続ける影響は充分把握されておらず、今後の研究が待たれます。

1 子供の視機能の発達、眼球運動とピントあわせの発達

子供の眼の発達は6歳までが重要と考えられています。視力の発達と同時に眼球運動やピント合わせ(調節)もこの6歳までに急速に発達していきます。みたい方向に眼を向け、また本を読むなどの眼球運動は、体を動かす大きな運動とともに発達していきます。さらに大きな運動と細かい手の動きと眼との強調運動も発達していきます。

幼少時が野原や森を駆け回り、両眼でものをみて動態視力や立体視を発達させて、脳が3次元を理解したり空間認識が発達します。しかしこの発達の大事な時期に小さな画面を二次元で長時間みることはそういった視覚発達や、調節や、立体視などの重大な影響があることは容易に想像できます。また眼球運動や、眼と手の協調作業などの発達が阻害されてしまいます。

2 近視への影響

近年、近視の人数が全世界的に急速に増加しており、かつてはアジア人に近視が多いなど遺伝的な影響で近視になると考えられていましたが、この状況は遺伝的要因だけでは説明つかず、環境因子の影響が指摘されるようになってきています。

今までの研究で分かっていたことは、姿勢が悪く、眼と対象物との距離が30cm未満だと近視が進行するということです。電子機器との距離は大人でも子供でも大体20~30cmが多いです。小さい時期に電子機器を使用するようになると近視への影響も姿勢への影響も危惧されます。2つめに30分以上連続して近業作業することも近視の進行を進めることがわかってきています。また電子機器の開始時期が早ければ早いほど、長年にわたり使用するため、近視の進行が続きます。

反対に屋外活動が近視進行を抑制するとの研究報告があります。

3 斜視への影響

最近、スマートフォンを長時間していたら、内斜視になったり外斜視になるとといってくる患者が増えてきています。スマートフォンをやめたら少しよくなったとも聞きますので何らかの因果関係はあると考えられていますが、まだ詳細は分かっていません。

眼からスマートフォンの距離が近いために、通常より強い輻輳(両方の眼球が内向きになること)が必要になります。眼を寄せることが続いために起こる内斜視や、

寄せることがつらくて片眼で見るようになるため外斜視(外に向いてしまう)が強くなる両方のケースが報告されています。

スマートフォンを中止して軽快する場合もありますが、低年齢児の急性の内斜視は弱視になる場合もあため1年以内の手術が必要になってきます。

まだスマートフォンと低年齢児との関係の歴史が浅く、これからの研究報告が待たれます。

4 ブルーライト

網膜神経節細胞にある光感受性神経節細胞は、ブルーライト(480nm)によって励起され、概日リズム(約24時間周期で変動する生理現象で体内時計とも言われています)に関与しています。昼中、日光からたくさんのブルーライトを浴び、日没とともにブルーライトが消えると、メラトニンの分泌が盛んになって、眠くなってきます。夜遅くまでブルーライトを出す電子機器をみていると、睡眠障害を起こす可能性があると言われています。子供は寝る前2時間は電子機器に触れないようにしないといけません。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人